あらすじ

世界から音が消えゆく浮遊大陸「レゾナンス」。
楽器職人の青年カイルは、最愛の幼馴染であり、世界の希望であった聖女エルナを戦線で失う。
絶望の淵に響く「葬送の鐘」。しかしその夜、工房のドアを叩いたのは、雨に濡れることもない、死んだはずのエルナだった。

「ただいま、カイル。私、奇跡的に助かったの」

彼女は微笑む。だが、調律師であるカイルの耳には、彼女の胸から響くはずの「鼓動」が全く聞こえてこなかった。
彼女は死んでいる。これは、天界から盗み出した、わずか十日間だけの残酷な「嘘」。

周囲の人々から彼女の姿が消え、カイルの記憶から彼女の名前が削り取られていく。
記憶を代償に、死者を繋ぎ止めることは罪なのか、それとも愛なのか。

「忘れていいのよ。それが、私のついた最後の嘘だから」

これは、音を失った世界で、一人の職人と「視えない聖女」が奏でた、最も切なくて美しい十日間の不協和音。

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アルファポリス
アルファポリス2026/05/13
  • 現在の作品死んだはずの聖女と過ごす、偽りの十日間。音を失いゆく世界で、俺は彼女の嘘の伴奏者になる。