あらすじ

量子計算機の進化により、過去のあらゆる暗号通信が遡って復号され得る時代が来た。今日送られたメッセージも、数十年後には他人に読まれることが前提となる世界。 その世界に、「暗号調律師」と呼ばれる職人がいる。 依頼人の手紙を、指定された未来のタイミングで「ちょうど読めるようになる」よう、鍵長と量子計算機の進化曲線を読み合わせて調整する職人だ。十年後に孫へ。二十年後に息子へ。届ける相手と時期を、技術と直観で見極める。 藤太一郎は四十代後半の調律師。業界平均より保守的な予測曲線を引くことで知られていた。 ある朝、十年前に登録した一件の早期復号アラートが届く。当初の予測より五年早く、手紙が受取人へ届いてしまった。依頼人はすでに故人。受取人は十七歳の少女。 藤は説明責任を果たすため、地方都市へ向かう。

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カクヨム
カクヨム2026/05/13
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