あらすじ

現代版桃太郎 あらすじ  正義という言葉は、使えば使うほど減らない——。  郊外の町に生まれた桃太郎は、端正な顔立ちと愛嬌を武器に、誰からも好かれる男として育った。老人には礼儀正しく、子供には優しく、地域の清掃活動には必ず顔を出す。その善意の裏で、彼は賄賂と合成麻薬——通称「きびだんご」——を使い、周囲の人間を静かに支配し続けていた。  三十代になった桃太郎が次に狙ったのは、地域に根ざした中小企業「株式会社鬼ヶ島」。彼は「腐敗した経営陣から会社を守る、正義の鬼退治だ」と嘯きながら、半年をかけて会社を乗っ取る。  しかし、一人だけ気づいた男がいた。顔が赤く、声が大きく、「かわいそう」と笑われ続けてきた社員——赤間剛。彼は深夜のオフィスで、孤独に証拠を集め始める。やがて赤間は、企業不正の暴露を専門とするフリーライター・山吉と出会い、桃太郎への反撃が静かに幕を開ける。  剣ではなく言葉で、権力ではなく事実で——現代の「鬼退治」が、今始まる。 登場人物 桃太郎 本作の主人公にして、真の悪役。地方の名家に生まれ、善人の仮面を完璧に纏う。笑顔で「正義」を語りながら、賄賂と薬物で人心を操る。感情を込めて嘘をつかず、穏やかな声で悪事を語る——その静けさが最も恐ろしい。 赤間剛(通称・鬼) 株式会社鬼ヶ島の社員。顔が赤く、声が大きく、感情が顔に出やすいことから「鬼」と呼ばれる。会議で真っ先に異議を唱え、「かわいそう」と笑われ孤立しながらも、深夜のオフィスで淡々と証拠を積み上げる。英雄的な動機はない。ただ、許せなかっただけだ。 山吉 フリーランスのライター兼YouTuber。登録者数十万人、専門は企業不正の暴露。大手製薬会社の不正を暴いたことで業界を追われ、婚約者にも逃げられた。フォロワーから「義憤の犬」と呼ばれるが、自称は「野良犬、ただし噛みつきます」。一度噛みついたら離さない。 末端の人々 桃太郎に「きびだんご」を渡された者たち。借金を抱えた者、病気の親を抱えた者、単純に怖かった者——全員が悪人というわけではない。悪の組織は往々にして、追い詰められた普通の人間で構成されている。その事実がこの物語で最も恐ろしい。​​​​​​​​​​​​​​​​

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カクヨム
カクヨム2026/05/12
  • 現在の作品現代版桃太郎