あらすじ

武蔵の貧しい農家に生まれた十四歳の平吉は、家を継ぐこともできず、銭もコネもないまま、いつか江戸へ出たいという思いを抱えていた。 田畑に立ちながらも、平吉の目はいつも道の向こうを見ていた。 米だけでは食えない。けれど、銭がどう生まれるのかもまだ知らない。 そんな平吉が出会ったのは、村に品物を運んでくる一人の旅商人だった。 「品物はな、人の欲しがるところへ運ばれて、初めて値がつくんだ」 その言葉が、平吉の心に火を灯す。 やがて江戸へ向かった平吉は、商家の丁稚奉公から身を起こし、読み書き、そろばん、帳面、得意先回り、掛け取引、信用の重みを学んでいく。 武器は刀ではない。 金でもない。 嘘を書かない帳面と、人から預かった信用だけ。 これは、金なし農家の次男坊が、江戸の商いの世界で信用を積み上げ、やがて上方と江戸をつなぐ商人へと成り上がっていく物語。 帳面を汚すな。 それは、少年が商人として生きるための、たった一つの掟だった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/12
  • 現在の作品帳面を汚すな 〜金なし農家の次男坊、江戸で信用だけを武器に成り上がる〜