あらすじ
――数学で世界を証明する少女が、
“感情”という未解決問題に出会ってしまった。
国際数学オリンピック入賞者にして、あらゆる現象を論理で切り分ける天才少女・榊ミミ。
感情を「不確定な変数」と切り捨てて生きてきた彼女の日常は、ある朝、一人の奇妙な少女によって破壊される。
「エッセイですわ」
後頭部へ叩きつけられた大量の原稿用紙。
その犯人は、文芸部部長にして自称“エッセイスト”――天ヶ崎ルルだった。
「恋をしましょう」
「嫌です」
「では文学を」
「もっと嫌」
常識も距離感も狂っている。
だが、彼女の文章には、数式には存在しない“揺らぎ”があった。
読めば読むほど、思考が侵されていく。
論理が鈍り、感情が混ざり、気付けばミミのモノローグまでもがルルの言葉へと染まり始めていた。
そんな中、校庭で女子生徒転落事件が発生する。
悲鳴が響く中、ルルは血塗れの現場を静かに見下ろし、懐から一枚のIDを取り出した。
「警視庁捜査一課嘱託、特別探偵――天ヶ崎ルルですわ」
これは、“恋”によって現実を誤読した人間たちの物語。
文学で人の心を暴き、数学で現実を証明する二人は、学園に潜む「失意」と向き合っていく。
「さあ、数式の天才さん。
文学より遥かに残酷な、現実の解を導きに行きましょうか?」