あらすじ

没落した元公爵令嬢リセリシア・ランシェールは、身分を隠し、リセ・オルコットという名で魔術学院に通いながら変身術の研究をしていた。そんなある日、彼女の元に依頼が舞い込む。アルシュタイン公爵家へ嫁ぐはずだった伯爵令嬢ロザリー・フェリエが恋人と駆け落ちしたため、彼女が見つかるまでの間、身代わり花嫁を務めてほしいというのだ。  アルシュタイン家には、代々公爵夫人が若くして死ぬ呪いの噂があった。乗り気ではなかったリセだが、元公爵令嬢である彼女なら完璧に貴族令嬢を演じられるとして、半ば強引に送り込まれることになる。  公爵家には、結婚式までの一ヶ月間、花嫁が屋敷に滞在して花嫁修行を行うしきたりがあった。リセは何者かから「この家の花嫁は呪われる」と血文字の警告を受けるも、代役として屋敷に留まり続ける。  婚約者ディオドールは、真名と魔力で相手を服従させる魔術『真名縛り』の不正使用を取り締まる、戸籍庁の特務捜査官だ。彼は当初からリセの違和感に気付きながらも、聡明で気丈な彼女に惹かれていく。舞踏会で真名縛り事件を共に解決した夜、踊れなかったリセのために、彼は二人きりの舞踏会を用意する。リセもまた、誠実で優しいディオドールに少しずつ心を許していった。  二人は共に、アルシュタイン家の呪いの正体を追う。歴代公爵夫人の享年や出自を調べるうち、魔力の少ない女性ほど早く命を落とし、公爵夫人が生きている間だけ家に幸運が続いていたことが判明する。二人は、長年仕える執事こそ、公爵夫人の魔力を対価に加護を与えている妖精ではないかという仮説にたどり着く。  そんな中、リセは侵入者に髪を切られる事件に遭う。そして髪を直しに訪れた指導教授から、本物のロザリーがすでに発見され、その居場所を掴んだのがディオドールだと知らされる。リセは、彼がすでに自分が本物のロザリーではないと知っていることに気付く。  やがてリセは、ディオドールの叔父レオニードこそが警告と襲撃の犯人であり、真名縛りを用いてディオドールを殺そうとしていることを知る。妻を呪いで失ったと思い込む彼は、アルシュタイン家そのものを終わらせようとしていた。リセとディオドールは協力し、晩餐会の夜、レオニードを逮捕する。  そして明かされた呪いの真実。それは、初代公爵夫人と妖精が結んだ契約だった。公爵夫人の魔力を対価に家へ加護を与える契約だったが、後世で説明が失われ、魔力の少ない花嫁たちが命を削られていたのだ。ディオドールは契約解除を命じ、長年続いた呪いを終わらせる。  本物のロザリーとの婚約が解消され、屋敷を去る前夜。リセはディオドールに本当の姿を見せ、リセリシア・ランシェールとして口づけを交わす。そして翌朝、鳥へ変身したリセは屋敷を飛び去る。  新学期。高等課程へ進学したリセの前に、研究支援者として現れたのはディオドールだった。

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カクヨム2026/05/12
  • 現在の作品リセ・オルコットの変身録