あらすじ

高校二年生の海野紬(うみの つむぎ)には、誰にも言えない秘密がある。彼女の家系には、初めての恋を知ると感情が「金平糖」として溢れ出し、引き換えに持ち主の体温と命を奪っていく「糖化現象」という呪いが伝わっていた。 かつて曾祖母が、寡黙な曾祖父の心を知りたいと「海」に願った代償。紬はその呪いを恐れ、心を無機質な硝子の檻に閉じ込めて生きてきた。しかし、同じ図書委員の同級生・瀬戸(せと)と過ごす穏やかな時間が、彼女の凍った心を溶かしていく。 図書室の書庫で見つけた古い郷土史。そこには曾祖母の伝説と、「溢れた想いを誰かに預けなければ、持ち主は砂糖の彫像となって果てる」という残酷な結末が記されていた。瀬戸に惹かれるほど、彼を呪いの道連れにしてしまう恐怖に怯える紬。 雨宿りの軒下で触れそうになる指先、溢れ出す色とりどりの結晶、そして急激に奪われていく体温。ついに限界を迎えた紬の感情は、放課後の温室で「甘い洪水」となって決壊する。 秘密を知った瀬戸が選んだのは、逃げることではなく、彼女の命を削る「想い」をすべて受け止めることだった。これは、形になってこぼれ落ちる不器用な愛を、一粒ずつ拾い集めていく二人の、切なくも温かい純愛物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/12
  • 現在の作品砂糖細工の心臓