あらすじ
月が、少しずつ地球へ近づいてくる。
最初は「綺麗」と騒がれていた異変だった。
けれど次第に、海は空へ流れ始め、人々は同じ夢を見るようになる。
——暗い海底。
——沈んだ巨大な月。
——そこからこちらを見つめる無数の目。
高校生の浅葱は、夢を見るたび身体の中に“海”が増えていくことに気づく。
耳の奥で鳴る波の音。
吐き出す海水。
そして、月に呼ばれる人々。
やがて彼は知る。
近づいていたのは月ではない。
人類そのものが、“海だった頃”へ戻ろうとしていた。
静かな終末と、巨大な宇宙の海を描く青春SFホラー。
最後の一行で、世界の見え方が変わる物語。