あらすじ
世界を滅ぼそうとした邪神を討伐した異世界渡航者、クロバ・カイト。
勝利の直後、崩壊した邪神の向こうに開いたゲートへ吸い込まれた彼は、女性上位主義国家《秋津島皇国》の尾張国へ落ちてしまう。
黒髪黒目、中肉中背、どこにでもいそうな顔。
ただし、死んだ魚のような目をした彼の中身は、いくつもの異世界を渡り歩いた生存技術の塊だった。
戦闘は徒手空拳と支援魔法。
薬学は錬金術、本草学、西洋医学、東洋医学、調剤基礎まで網羅。
空間・時間・幻惑といった禁忌級の魔法も扱えるが、面倒事が増えるので基本的には使わない。
そんなカイトの望みはただ一つ。
今度こそ、静かに薬屋を開いて暮らすこと。
だが、彼が落ちた尾張国では、織田家のお家騒動が起きていた。
母を殺され、家臣団に見放されかけた少女――織田信長と出会ったことで、カイトの平穏な薬屋生活は開店前から遠ざかっていく。
「俺は薬屋だ。軍師じゃない」
「死なせないだけだ。勝たせるとは言ってない」
邪神を倒した薬屋志望と、尾張を継ぐ少女。
薬と医術と死なせない戦支度が、秋津島の乱世を少しずつ変えていく。