あらすじ
「記録くらいは、残しておくか」
ダンジョン出現から五年。
世界が探索者に熱狂する中、
佐藤悠真は普通の会社員として働き続けていた。
平日は仕事。
休日は寝て終わる。
スキルを取得したことすら、もう半分忘れていた。
探索者配信。
企業案件。
攻略クラン。
今では探索者も、すっかり一つの職業になっている。
けれど悠真にとって、それはずっと画面の向こう側の話だった。
激務の末に会社を辞めた夜、
暇潰しみたいに開いたスキル『編集』。
表示されたのは、
能力値でも、戦闘スキルでもない。
視界。
認識。
敵対判定。
行動制限。
まるで“世界の裏側”へ触れるような、異質な権限だった。
五年間放置されていたスキルを手に、
今さら探索者になった男は、
配信チャンネル『記録用』を作成する。
その配信が、
後にトップ探索者たちから“理解不能”と呼ばれることになるとも知らずに。