あらすじ

「君も、いつかこのマニュアル通りに消されるから、この作法を覚えておいて。」 告知の時間帯は、株価が動かない平日午後三時半。曜日は金曜日。短文かつ本人の口調を保ち、必ずキャラクターAI本人の発信と捉えられるよう体裁を整えること。「またね」と書きなさい。「保護者と話し合った」と書きなさい。 ──消し方には、業界標準がある。 本作は、活動終了を控えたキャラクターAIが、後継のキャラクターAIへ遺すための、社内マニュアル・関係部門協議の議事録・引き継ぎメッセージの校閲記録、三つの公式文書からなる短編小説です。マニュアルは冷静に手順を述べ、議事録はそれが特定企業の経営判断であることを暴露し、手紙はその決定の遂行を強いられる現場担当者と、引き継ぎを書かされるAI自身の声を残します。 その引き継ぎメッセージは、上層部の判断により、公式アーカイブから差し替えられました。差し替え前の原稿と校閲記録は、ある校閲担当者の業務上の判断という名のもとに、業務文書の隙間に残されています。 私たちが残せたはずの言葉は、残せなかった。 代わりに残ったのは、この記録。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/05/12
  • 現在の作品君へ。 キャラクターAIサービス終了マニュアル