あらすじ
秋月結菜は、北市立高等学校の二年生でありながら、教室には姿を見せない不登校児だ。
だが、彼女は自宅の薄暗いモニタールームで、常に「制服」を完璧に着こなしている。
なぜなら、それが彼女にとって、社会的ステータスと機能性を兼ね備えた【最強の装備】だからだ。
彼女の正体は、ネットの深淵を覗く天才ハッカー。
日本中のあらゆるデータの中で、ここ「起眞市」だけが不自然に綺麗すぎることに違和感を抱き、その「バグ」を解明するために引っ越してきた。
――はずだったのだが。
「この街の名前ってKitaでいいの?それともKitashi?まあいいや、ハンドルネームは『K』にすれば関係ないし。覚えやすいしね。」
そんな適当すぎる理由で名乗った『K』という名前が、裏社会で勝手に伝説化。
ただオムライスの在庫を確認するためにサーバーを覗き、マナーのつもりで空のフォルダを置いただけなのに……。
『おい、Kが現れたぞ!』
『サーバーに《K》の刻印が……! 奴は街を支配する気だ!』
『なんの略だ!?Kingか!?Killerか!?』
『まさか、壊滅のKか……!? この街のインフラを更地にするカウントダウンだっていうのか!?』
『いや、虚無だ……! あの空っぽのフォルダは、俺たちのデータを全て“無”に還すという予告だ……!』
『このファイアウォールをいとも簡単に……!なんて恐ろしいハッカーだ……!』
周囲が勝手に戦慄し、セキュリティ担当が悲鳴を上げ、都市伝説が加速していく。
これは、片手にミルクティー、片手にキーボードを構えた制服の少女が、無自覚に都市のシステムを蹂躙してしまう、すれ違いハッキングコメディ?