あらすじ

【知名度が力になる現代社会で、死亡確認後に届いた無言通話から始まる現代異能サスペンス】 この世界では、知られている人間ほど強くなる。 顔を知られ、名前を知られ、何をした人間なのかを覚えられるほど、身体能力も声の通りも、周囲へ与える影響力も強くなる。だから学校では、災害や事件に備えて中央保安統制機構の職員の顔と名前を覚えさせられ、芸能人や有名人の名前の扱いには大きな意味があった。 高校生の雨宮透真は、目立つ人間ではない。けれど、誰がどこに立ち、誰の名前がどの位置に置かれ、誰が見えなくなっているのかに気づく少年だった。 ある夜、雨宮のもとに、卒業生の霧生恒成から無言の電話がかかってくる。通話時間は三十七秒。だが翌朝、中央の発表では、霧生はその電話より七分前に死亡確認されていたことになっていた。 死亡確認後に届いた無言通話。途中で変わったかもしれない記事。整いすぎた現場。名前が後ろへ下げられていく公式文。 雨宮は、生徒会長の枝折瑞季、校内で知られる朝比奈迅、記録を残そうとする真鍋とともに、霧生の死に残された小さな違和感を拾い始める。 けれど、彼らが向き合う中央保安統制機構は、この社会に必要な組織でもあった。災害を止め、人混みを守り、知名度犯罪を抑える中央職員たちは、確かに人を救っている。 それでも、中央のどこかで誰かの名前が閉じられている。 雨宮たちは、組織を壊すためではなく、消された名前を終わったことにさせないために、記録の中へ踏み込んでいく。

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カクヨム
カクヨム2026/05/11
  • 現在の作品知られるほど強くなる世界で、その名前は消されていた