あらすじ
五十一歳の久住宗介は、元大型貨物の運転手。
物流、配送、倉庫、段取りに詳しいだけの、どこにでもいる壮年の男だった。
だが目を覚ますと、そこは泥と煙にまみれた戦国の野営地。
周囲には敗走寸前の足軽たち。
転がる槍、冷えた粥、湿った薪、乱雑に積まれた米俵。
兵糧はある。
味噌も、塩も、干物も、水場もある。
それなのに、扱いが悪すぎて兵たちは腹を空かせ、明日には動けぬ有様だった。
刀は振れない。
槍も使えない。
戦のことなど何もわからない。
それでも宗介は気づく。
「これでは、戦う前に倒れる」
腐った米と使える米を分け、湿った薪から火を起こし、味噌粥を作り、味噌握りを配り、水と荷を整える。
現代の物流と現場仕事で身につけた段取りが、敗れかけた足軽たちを少しずつ立たせていく。
これは、戦えぬ男が兵糧を握り、戦国で居場所を得る物語。