あらすじ

「イリス・ノールド。君との婚約を破棄する」 王宮夜会の真ん中で、王太子ルシアンは伯爵令嬢イリスにそう告げた。 理由は、地味で融通が利かず、書類と規則ばかり気にする女だから。王太子の隣には、可憐で愛らしい義妹ミレーヌが寄り添っている。 だが、イリスは渡された婚約解消書を見て首をかしげた。 「殿下。婚約破棄の前に、本人確認をお願いします」 前世は役所の戸籍係。今世では、人の名と契約の異常を読み取る《名簿読み》の力を持つイリスには、その書類の下に隠れた黒い文字が見えていた。 イリス・ノールド。三年前に死亡。 配偶者、クラウス・フォルナー辺境伯。 身分、辺境伯の亡き妻。 王太子が捨てようとした婚約者は、王国の記録上、すでに死んでいた。 しかも、会ったこともない辺境伯の妻として。 「三年前に死んだ私の妻が、ずいぶんお元気そうで何よりです」 混乱する夜会に現れたのは、冷静すぎる辺境伯クラウス。 イリスは彼とともに、自分を死んだことにした者、自分の名前で動かされた金、自分の人生を奪った王宮の記録を暴いていく。 これは、死亡済みとされた令嬢が、自分の名前を取り戻し、偽りの婚約も偽りの家族も捨てて、本当に呼ばれたい名前を選ぶ物語。

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小説を読もう2026/05/12
  • 現在の作品婚約破棄の前に、本人確認をお願いします ~王太子が捨てた私は三年前に死亡済みで、なぜか辺境伯の亡き妻になっていました~