あらすじ
神秘[しんぴ] ・名
人間の知恵でははかり知ることのできない・こと(さま)。
十八歳の青年、宮代要(みやしろかなめ)は謎の化け物──神秘に追われていた。
危機一髪のところで彼を助けたのはバーテンダー、弓削影次(ゆげかげつぐ)という青年だった。
化け物を目撃した記憶を消すためにBarに引きずり込まれた要は、そのバーの裏の顔、ギルド対応組織「The ResT」の存在を知る。結ばれた約定を果たすため、神秘に襲われた要は彼らに助けられることとなる。
だが、神秘の襲撃は一度で終わらなかった。
内見のためアパートへ向かった要は、そこで謎の屋敷へと迷い込む。
そのことを察知した影次はギルドの他のメンバーと協力し、要が迷い込んだ環境型神秘へと潜り込むための条件を探る。
一方要は屋敷内を探索していたが、そこで見つけた屋敷の主人の記録に少しずつ心を揺さぶられる。屋敷の主人に会おうと結論付けた要を止めたのは、ギルドメンバーの金(ジン)に力を借りた影次だった。そのまま二人は屋敷から脱出するが、本来屋敷に迷い込むはずがない要が迷い込んでしまった原因を金から告げられる。
彼は贄の子──生まれながらの生贄体質であり、生きている限り神秘に狙われ続ける因果だと。
因果に反発し、どうにかして贄の子の在り方を変えようとする影次を見ながら、要は罪悪感に押しつぶされそうになる。
マスターがいない間はメンバーが依頼を受けること、神秘を扱うことを禁止していたと知ってしまったからだ。
彼の提案があえなく失敗に終わった時、要は影次を突き放す。
「マスターが見つからないうちに動くのは本来御法度なんでしょ。……だったらまた、そっちを探すのを優先してよ」
影次から逃げるようにその場を離れた要は、自分の事情をもっとも知る人、シスター・イダへと話を聞きに行く。
彼女との話、そして養護施設に突如現れた神秘によって要が理解したことは、要が今後生きていく限り神秘に狙われ続けるという事実だった。
周囲の人間を護るため飛び出した要は、自分さえいなければという想いにかられ、助けてくれたギルドのメンバーである怪物型神秘、金峰龍(ジンフォンロン)へ自身を喰らうように懇願する。
だが、喰らわれる寸前に要は逃げるようにその場を立ち去ってしまった。その衝動の理由を自分でも理解しないまま。
一晩明け、要は施設に現れた神秘の正体を探りだす。ヒントを得ながら対策の決定打がない中で影次が再び現れた。頼ることを望む影次と頼ることを許される理由を求める要。
二人の会話の中で、要は一つの決意をする。
「僕がギルドとBar、二つの組織のマスターになります」
マスターさえいれば影次たちも十全の力を発揮することができる。そのために新たなマスターとなった要は、影次と協力して自身を襲う神秘を回収する。
もちろんマスターになったからとはいえ、彼の性質が変わるわけではない。時にギルドに現れた神秘に襲われながら、時に依頼人の代わりに囮になりながら、それでも彼は立つことを決めた。このギルドのマスターとして。
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