あらすじ
美術短大卒、夢破れ、辿り着いたのは「山菜メーカー」を名乗る訪問販売会社だった。
求人票には「ルート営業」「未経験歓迎」「アットホームな職場」。
だが実態は、暴言と人格否定が飛び交うブラック企業。
五月の灼熱の中、飛び込み営業を命じられた私は、山沿いの不気味な住宅地へ迷い込む。
黒い遮光カーテン。
応答のない家々。
紙をめくる音。
そして、一人の老女から渡された契約書には、なぜか自分の筆跡でこう書かれていた。
『永住 返金不可』
これは、働くことに心を削られた全ての人間へ捧げる、
“労働怪談”。