あらすじ
読む男がいる。
指は乱れない。
眼は深く沈む。
整えられた所作の下で 獣が息をしている。
立つ男がいる。
声はまっすぐ届く。
肩は退かない。
失った名を胸に置いたまま それでも前を見る。
ふたりは ひとつの影を追う。
影は底から来る。
やがて境を越え 国を越え 人が世界と呼んできたものの輪郭へ触れていく。
神に近い権能。
人の届く所作。
そのあいだに立つとき 何を失い 何を取り戻すのか。
群青は沈む色ではない。
まだ見えないものを呼ぶ色だ。
理を読む者と 身体で立つ者。
男ふたりが互いの温度を知りながら 世界の深みへ進む
群青の幻想譚。