あらすじ
「婚約を破棄する」──王太子エドワードの冷酷な宣告が、公爵令嬢セレスティアに下された。自称聖女に呪いをかけたという身に覚えのない罪で、王国最果ての「断崖の灯台」への追放が決定する。『陰気な女には灯台がお似合いだ』と嘲笑う貴族たち。しかしセレスティアは、涙を見せることなく静かに王都を去った。なぜなら彼女は知っていたから。自分がいなくなった後、この国の海に何が起こるのかを。実はセレスティアには、王国の海運を密かに守り続けてきた特別な力があった。『陰気』と蔑まれたその静けさは、海の精霊と対話するための尊い資質だったのだ。辺境の灯台で待っていたのは、孤独ではなく──彼女の真の価値を最初から見抜いていた一人の青年との出会い。そして王都では、セレスティアを失った代償が静かに、しかし確実に牙を剥き始める。婚約破棄は絶望の始まりではなく、本当の幸福への第一歩だった。これは、辺境に追放された令嬢が真実の愛と居場所を見つけ、穏やかに微笑むまでの物語。