あらすじ
深夜の談話室に響く罵声、膝に別の女を乗せた婚約者。あまりにもテンプレな光景を前に、聖女エリーゼは吹き出しそうになるのを必死にこらえていた。
「(あー、これ前世で見たやつですね。わたし、知っています)」
彼女には、理不尽な搾取に耐え続けた「社畜OL」としての記憶があった。
聖女の報酬は銀貨二十枚、ボロ小屋の家賃は八枚。ブラック企業も真っ青の劣悪な労働環境を、ただの「仕事」と割り切り淡々とこなしてきた彼女にとって、追放宣告は願ってもない「早期退職」でしかなかった。
必死に貯めた銅貨まで没収されたが、懐には路地裏でもらった「白金貨一枚」がある。
目指すは隣国、ルインガルド帝国。
自分を物としてしか見ない国を損切りし、護衛の冒険者アブスの無骨な優しさに触れながら、冷め切った元社畜聖女が温かい心を取り戻していく。