あらすじ
恋した人に会いたい。その一心で、少女は長い髪を切り、男の名を名乗って軍への入隊を決意する。
彼女の名は紗和。戦争の影が色濃くなる町で、丘の上の桜の木の下で出会った軍人・蓮司に、許されぬ恋をした。軍人と町娘。決して交わることがないはずの二人。それでも「ただ、あなたのそばにいたい」という想いは、彼女を常識外れの行動へと駆り立てた。
上官と新兵として、ついに果たされた再会。しかし彼は、目の前の新兵がかつての少女だとは気づかない。正体を偽る苦しさと、彼のそばにいられる幸せの間で、紗和の心は揺れ動く。
やがて二人は過酷な戦地へ。死と隣り合わせの日々の中、蓮司がふと漏らした言葉に紗和は息を呑む。それは、二人が出会った思い出の「桜の丘」の話だった。
偽りの関係の先に、二人の未来はあるのか。時代に翻弄される、命がけで貫いた恋の行方とは――。