あらすじ
王都魔導院の呪文校閲官リオ・アステルは、派手な魔法を撃てないことを理由に「誤字を直すだけの地味職」と笑われ、功績を奪われたまま辺境港セイレンベルへ追放同然に送られる。
だが、この世界の魔法は、呪文の一文字、契約書の句読点、魔法陣の余白ひとつで暴走する。リオの本当の強みは、誰も気づかない術式文の誤記、禁則語、改ざんの痕跡を読み抜き、事故が起きる前に赤を入れることだった。
着任先のセイレンベルでは、防潮結界の契約呪文が崩れかけ、満潮の夜に港を沈めようとしていた。臨時代官ミラ・ヴェントに半信半疑で迎えられたリオは、契約書のたった一文字を見抜き、赤入れひとつで港を救う。
一方、リオを追放した王都では、校閲工程を削った新呪文が次々と事故を起こし始める。戻れと言われても、もう遅い。
リオは自分を必要としてくれる辺境で、壊れた魔法契約と壊れた評価を読み直していく。