あらすじ

世界には、四つの種が存在していた。 人間、獣人族、エルフ族、小人族。 そして——もう一つ。 誰もが口にすることを恐れる名。 魔王。 それは単なる強者ではない。王でもない。存在そのものが異質だった。 魔王は死なない。 正確には、「終わらない」。 肉体が滅びても、魂は砕けず、どこかの命に宿る。そして記憶を引き継いだまま、新たな肉体で再びこの世界に現れる。 何度も、何度も。 数え切れぬほどに。 今回の魔王は、まだ幼かった。 名は、まだない。 人間の村に生まれたその子は、静かに目を開いた。 生まれたばかりの赤子のはずなのに、その瞳は異様に澄んでいた。 まるで——すべてを知っているかのように。 (……また、か) 声にならない思考が、確かにそこにあった。 記憶は残っている。 炎に焼かれた都市。 自らが創り出したゴーレムたち。 そして——裏切り。 (今回は……どうする) その小さな手が、ゆっくりと握られる。 爪が、わずかに伸びた。 赤子のそれとは思えない、硬質な輝き。 この世界の魔族は、彼から生まれた。 かつての自分が、髪と爪から作り出したゴーレム。 それらが人間と交わり、血を受け継ぎ、やがて「魔族」と呼ばれるようになった。 だが、彼らはすでに「制御下」にはない。 自我を持ち、欲望を持ち、そして——裏切る。 それを、魔王は知っている。 すべて、何度も経験しているからだ。 (今回は……違う結末にする) 赤子は、わずかに笑った。 その笑みは、あまりにも静かで、あまりにも冷たかった。 その日、一つの命が生まれた。 そして同時に。 世界の均衡は、再び静かに崩れ始めていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/11
  • 現在の作品この世界はどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです