あらすじ
【あらすじ】
「なんであんな無能が評価されて、俺たちが泣きを見なきゃいけないんだ?」
理不尽でブラックボックス化した人事評価。
それに絶望した社長と天才エンジニアが、会社を根底から変える劇薬システム『タレント・エクスチェンジ(TX)』を導入した。
それは、全社員を「銘柄」として上場させ、同僚同士で身銭を切って投資させる【社内仮想株式市場】。
上司の判子は意味を持たず、冬のボーナスは「自身の株価」で決まる完全実力主義の世界だ。
システムが稼働すると、会社はかつてない熱狂に包まれる。
自己保身ばかりでノウハウを抱え込む「属人化おじさん」の株価は大暴落。一方で、隅で埃を被っていた「底値の若手(バリュー株)」は同僚たちの熱烈なプロデュースによってストップ高を記録する。
誰もが才能を正当に評価し合い、共に豊かになる完璧なユートピアが誕生した――。
【登場人物紹介】
■ 九条 雅之(くじょう まさゆき / 52)
ミライ・イノベーション社長。
冷徹な経営者に見えるが、かつて理不尽な評価で優秀な部下を失った過去を持ち、「正当に才能が報われるシステム」に異常なほどの執念を燃やす。市場の「透明性」を誰よりも信奉している。
■ 朝倉 零(あさくら れい / 26)
開発部の末端に所属する天才エンジニア。
いつもヨレヨレのパーカーを着ている。シニカルな性格だが、九条の思想に共鳴し、社内仮想株式市場『TX』のアルゴリズムをたった一人で組み上げた。
■ 佐藤 健太(さとう けんた / 35)
営業部の中堅社員。
私生活ではインデックス投資や高配当株による長期資産形成を好む、極めて現実的で堅実な倹約家。TXシステム導入後、己の投資スキルを活かして真っ先に「底値のバリュー株(田中)」を発掘し、彼を全力でプロデュースしていく。
■ 田中 翔(たなか しょう / 25)
営業部の若手社員。
口数が少なく営業成績はイマイチなため、初期株価は地を這うような「ペニー株(低位株)」。しかし、複雑な業務を自動化するマクロツールを密かに自作するなど、隠れた技術力とオタク気質を持っている。
■ 鈴木 亮平(すずき りょうへい / 32)
開発部のエースエンジニア。
皆から頼りにされる好青年だが、TXシステムによって「社内最高値を誇るトップ銘柄」となる。
■ 篠原(しのはら / 55)
人事部長。
旧態依然とした相対評価と「上司の権力」を守り抜こうとする旧体制(アンティーク)の象徴。TXシステムの導入に猛反発するが、九条たちの仕込んだロジックに圧倒されていく。