あらすじ
荒廃した外界と壁に囲まれた都市が点在する近未来を舞台に、特殊な運送業務に従事する二人の青年の成長と絆を描いた物語である。
ジェットパルクールの世界王者であるテオは、配属先でフェルニコという青年と出会う。フェルは宝石のような美貌を持っていた。当初はテオを激しく拒絶する。しかし、テオはフェルが自身の体格の貧弱さや実力不足に強い劣等感を抱いていることを見抜く。テオは彼に「強くなる方法」を教えると提案し、過酷なトレーニングを開始した。限界まで体を追い込む日々を経て、フェルは徐々に心を開いていく。互いを愛称で呼び合うようになった二人の間には、相棒としての絆が芽生えていった。
二人の連携が最初に試されたのは、ライバル組織への報復任務であった。自社の縄張りを荒らした組織に対し、社長は「最終通告書」を叩きつけることを決定する。テオの圧倒的な機動力と、訓練で磨かれたフェルの正確な射撃により、二人は阿吽の呼吸で敵を圧倒する。恐怖で失神した敵の社長に血の手形で受領サインをさせ、任務を完遂する。
次の舞台は、上流階級が集う華やかなガラパーティーだった。普段の荒々しい仕事服を脱ぎ捨て、高級なタキシードに身を包んだ二人は、敵の妨害を受けながらも、依頼人にメモリーカードを渡すというミッションを無事に乗り越える。
今年開かれたジェットパルクールの世界大会で優勝したテオは現役を引退。正式に配送業務につく。
次は、四十億と言われるダイヤのネックレスの配送任務である。配送先は壁の外を通らなければいけない、他の街への危険な配送。ルート上には、ネックレスを狙う武装強盗集団たちが待ち構えていた。しかも、納期は七日後。
配送開始直後から激しい追跡を受け、テオは一次的にネックレスを奪われる。しかし、ナビゲーターのリリアによる支援でネックレスを無事に取り返す。賞金稼ぎが集う街では、八百長に使いたいという理由でテオに懸賞金がかけられ、二人は食事もそこそこに逃げ出すことになる。廃棄工場地帯では有毒ガスでフェルニコが瀕死になり、テオが必死で彼を助ける。
目的地の街についたものの、武器の所持が多すぎるという理由で検問所を通れなかった二人は、古い共同溝を通って目的地であるウィンザーシティへと入る。美術館にネックレスを納品しようとしたところでリリアの裏切りが発覚し、二人はネックレスをリリアに奪われないよう美術館内で戦うことになる。リリアを倒して時間ギリギリでネックレスを届けたテオは、出血多量で倒れる。
命懸けの任務を終えた二人に、ようやく平穏な日常が戻る。フェルはその端正な容姿を社長に利用され、写真集の撮影をすることになる。完成した写真集を恥ずかしそうにテオに見せる姿は、かつての刺々しさは微塵もない。
ある夜、疲れ果てた二人はくっつけたベッドで寄り添いながら眠りにつく。テオを枕にして甘えるように眠るフェルと、それを優しく受け入れるテオ。二人はこれからも最強のバディとして、共に駆け抜けていくことを誓う。