あらすじ
天正六年(1578年)。甲斐武田家当主、武田勝頼は長篠合戦で多くの重臣と一門衆を失い、家中の再編を実行した。異母弟、玄龍の還俗もその1つだ。勝頼は同母兄弟の無い玄龍に親近感を抱いていたが、11年ぶりに対面した玄龍はかつて謀反を企てて粛清された長兄の義信と顔が瓜二つだった。
家臣たちの動揺も大きく、嫌な予感を覚えた勝頼は近習の小宮山内膳に監視を命じるが逆に絆され、公然と勝頼を非難するようになる。勝頼は自分は間違っていなかったと思う一方で信清を擁護する異母妹、菊を見て自分を邪険にした義信や同い年の異母姉、竹を思い出して悩む。
天正十年、三月。一門衆までもが離脱離反し、武田家の運命は風前の灯になった。信勝の隣に控える信清を見て自分の予感が実は全て的外れだったと後悔してももう時は戻らない。岩殿城に落ち延びる途中、駒飼で休息を取った勝頼は信勝の提案をきっかけにある出来事を思い出す。