あらすじ
大身の殿さまが退屈まぎれに目黒まで遠乗りするが、途中で疲れてしまい、百姓家で馳走になったさんまの味が忘れられない。家来の金弥は、殿さまがさんまを食したことが重臣どもに知れると困るという。一計を案じて、金弥に内密で親類を訪ね、夕餉にさんまを所望すると、身をほぐして油抜きした魚肉を使った吸い物が出てきた。とても食せるようなものではない。さんまは目黒に限る、と教えてやった。賄い方は恐れ入って頭を下げたが、クスッと嗤う声が漏れて聞こえた。思わず、おのれ、無礼者! と叫んだが、こやつをなんとしてやろう? 思案がつかぬ。