あらすじ
王都送魔局の若き技師補レン・アルバートは、三相送魔に潜む危険を読み解く「零偏補償」の理論を独自に組み上げていた。
だが、王都の標準化を急ぐ者たちは、彼の式から現場条件を削り落とし、規定値内という言葉で危うい兆候を押し流していく。
かつて瘴気事故で両親を失ったレンは、その歪みに異を唱え、王都を追われることになる。
流れ着いた辺境の村、鉱山町、峠道、そして領都グラントール。
そこには、王都の美しい図面には映らない、濡れた碍子、古い封瘴井、読まれない記録、疲労として消される症状があった。
水車大工の娘マルカ、測瘴士リゼ、若き技官カルムたちと出会い、レンは気づいていく。
事故を防ぐのは、式だけではない。
誰かが異変を見つけ、記録し、伝え、止められる仕組みこそが必要なのだと。