あらすじ

青春とは、美化という名の現実逃避だ。  大学の旧校舎で「開かずの談話室」を不法占拠する阿久津零(アクツ・ゼロ)は、自他共に認める「日本で最も誠実な嘘つき」である。全ての言葉を「嘘ですが」で締めくくる彼の前にある日、一人の少女が現れる。 五月雨雫(サミダレ・シズク)。  彼女は、世界中のあらゆるものに「本音」という名の注釈(ルビ)が見えてしまうという、呪いのような特異体質の持ち主だった。 「あんたの言葉、読みづらくて吐き気がするわ」 そんな彼女の悩みは、自分の名前に「毒」という不穏なルビが振られ始めたこと。  時を同じくして、学内からは「無駄なもの」が次々と消えていく――落書き、噂話、そして学生たちの「個性」。それは、世界を正解だけで塗り潰そうとする生徒会長・文字寺による、冷徹な「世界の再定義」の始まりだった。 嘘つきの屁理屈と、本音を見抜く瞳。  噛み合わない二人が言葉を武器に、世界から「意味」を取り戻すための、およそ物語とは呼べないほどに歪な対話劇。 ――これは、僕が君を助ける物語だ。  ……嘘ですが。

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カクヨム
カクヨム2026/05/10
  • 現在の作品虚言癖の誠実(ホロウ・シニシズム)――注釈まみれの少女と、嘘しか言わない僕の概念戦争