あらすじ
青春とは、美化という名の現実逃避だ。
大学の旧校舎で「開かずの談話室」を不法占拠する阿久津零(アクツ・ゼロ)は、自他共に認める「日本で最も誠実な嘘つき」である。全ての言葉を「嘘ですが」で締めくくる彼の前にある日、一人の少女が現れる。
五月雨雫(サミダレ・シズク)。
彼女は、世界中のあらゆるものに「本音」という名の注釈(ルビ)が見えてしまうという、呪いのような特異体質の持ち主だった。
「あんたの言葉、読みづらくて吐き気がするわ」
そんな彼女の悩みは、自分の名前に「毒」という不穏なルビが振られ始めたこと。
時を同じくして、学内からは「無駄なもの」が次々と消えていく――落書き、噂話、そして学生たちの「個性」。それは、世界を正解だけで塗り潰そうとする生徒会長・文字寺による、冷徹な「世界の再定義」の始まりだった。
嘘つきの屁理屈と、本音を見抜く瞳。
噛み合わない二人が言葉を武器に、世界から「意味」を取り戻すための、およそ物語とは呼べないほどに歪な対話劇。
――これは、僕が君を助ける物語だ。
……嘘ですが。