あらすじ
アクロポリスを取り囲む十万人のマジカル☆ローマ軍。
聖域の危機にひとりの男が立ち上がった。
男の名はヘキサパッキア。
『躍動する筋肉と舞踏の神』の敬虔なる信徒である。
ヘキサパッキアは戦を知らぬ。
ヘキサパッキアは聖地にある神殿の神官である。
筋肉を鍛え、神々に舞踏を奉納して暮らしてきた。
けれども筋肉の平穏を脅かすものの気配には人一倍敏感であった。
マジカル☆ローマ軍の将兵は古今東西の戦を知っている。
強大なる軍団を以って瞬く間に幾つもの異民族を征服してきた。
激流のごとく聖地を囲む軍団を前にひとりの神官に何が出来るのというのか?
それでもヘキサパッキアは立ち上がった。
ヘキサパッキアは数千年に及ぶ人類の研鑽の果てに結実する筈の叡智の体現者であった。
ヘキサパッキアは神代において降臨した神々へと奉納されたという、とうに失伝した筈の神楽の継承者であった。
キサパッキアの肉体は筋繊維の一本に至るまでが遥か未来の知識によって鍛造され研磨されたオーパーツである。
僧帽筋が、大胸筋が、シックスパックが、ハムストリングスが、全身のあらゆる筋肉が神々の祝福を受けてかつてないほどに仕上がっている。
ヘキサパッキアは研鑽の日々が今この時の為にあったのだと得心した。
今この時、ヘキサパッキアは英雄の肉体に勇者の魂を宿していた。
陣を築くマジカル☆ローマの軍団を前に。
アクロポリスの聖域へと続く唯一の道を背に。
ヘキサパッキアはひとり立ちはだかった。
聖地を侵さんとするマジカル☆ローマの軍勢よ、とくと見よ!
我が名はヘキサパッキア、その身一つで軍勢をせき止めるものなり。
夜の帳が下りて奇跡の舞台が幕を開ける。
アクロポリスに聳える神殿より神楽太鼓が鳴り響き、祝詞が謳う。
そして、ひとりの男が神楽を舞った。
演目は『血の流れない英雄譚』
千年を超えて語り継がれる奇跡の一夜の物語である。