あらすじ
「大人しく俺の元で魔導書を書け」
18歳の冬、天才魔導書執筆師のエルゼは、婚約者であるインダルシア国の第一王子ユリウスに裏切られ、冷たい雪原で命を落とした。
自分が平和を願って生み出した魔術が、他国を侵略し、人々を虐殺するための「兵器」として悪用されていたという絶望を抱えながら……。
しかし、死の淵で自身の血と魔力によって未知の魔術陣が起動し、エルゼは16歳の冬へと時間を巻き戻す。
悲劇を繰り返さないため、未発表の魔導書を抱えて国を飛び出したエルゼは、猛吹雪の国境で隣国フリーダの精鋭部隊に捕獲される。
部隊を預かるのは、他国から『氷炎の悪鬼』と恐れられる冷酷無比な将軍、ブラント辺境伯グレンだった。
再び利用され、殺されるかもしれない。恐怖に震えるエルゼだったが、彼から告げられたのは予想外の言葉で――。
「……あり得ない。この魔力配列、幾何学的な図形と古代文字の完璧な融合……。しかも、このインクの掠れ具合からして、複製された写本などではない……」
「すみません。グレン様は以前からエルゼ様の熱心なファンなんです」
冷酷無比なはずの辺境伯様は、実はエルゼの魔術陣の熱狂的ファンであり、彼女自身にも過保護すぎるほどの愛情を注ぐ不器用な男だった!?
最高級のインクや羊皮紙を貢がれ、領民たちからも温かく迎え入れられる中で、エルゼは次第に彼に惹かれ、魔術の「本当の価値」を取り戻していく。
そして、再び迫り来るユリウスの脅威に対し、エルゼは愛する人たちを守るため、グレンと共に立ち向かう!
これは、一度は絶望した天才執筆師が、不器用で優しすぎる辺境伯と出会い、本当の幸せと温かい居場所を手に入れるまでの、焦れったくて甘い奇跡の物語。