あらすじ
公爵家の庶子令嬢セレナには、絶対に外してはいけない腕輪がある。
それは、十歳の洗礼で授かった「心声の祝福」を封じるための魔道具だった。
心の声が周囲に漏れてしまう、祝福という名の呪い。
しかもセレナの前世は、理不尽な客、泣き落とし、責任転嫁、被害者ぶる加害者を嫌というほど見てきた元クレーム処理担当だった。
貴族学院の夜会で、王子たちに囲まれる可憐な男爵令嬢ミレイユは、セレナの腕輪に目をつける。
「その腕輪、苦しそうですわ。わたくしが外して差し上げます」
善意を装って腕輪を外された瞬間、セレナの心声は会場中に響き渡った。
――ああ。案件化しました。
嘘泣き、責任転嫁、救世主ムーブ、声量だけの騎士道、涙を証拠にする王子の判断。
そのすべてが、元クレーム処理担当の心声実況によって淡々と処理されていく。
これは、無口な庶子令嬢が何も言っていないのに、なぜか夜会を一件崩壊させてしまうお話。