あらすじ
人に捨てられ、行き場を失っま少女・エリアは、逃げ込んだ森の奥で力尽きる。
そこは人ならざる"古きもの"が棲む禁域とされていた。目を覚ました彼女の前にいたのは白い髪と金の瞳を持つ感情の読めない存在。
名を持たぬその存在は感情を糧に生きる。
だが壊れかけたエリアの内側は驚くほど空虚でほとんど何も"味"がしなかった。
──だからこそエリアは興味を持たれた。
「珍しいな。お前は、空に近い。」
そうしてエリアは森の奥深くの住処へと連れ帰られる。保護でも救済でもなく"観察対象"として。
静かな共同生活の中で彼は何度も、エリアに触れ、内側を何度も確かめようとする。だが空だったはずの器は、僅かに揺らぎ始めていた。
初めての温もりに戸惑い、違和感に気づき名の無い感情が芽生え始める。
やがてエリアは彼に問いかける。
「あなたのことを、呼びたい」
その一言から、"名を与える"という禁忌に触れることになる。名を持つことは、存在を縛るということ。
それは人と、人ならざるものの境界を曖昧にしていく。
──これは、壊れかけた少女が少しずつ"何か"を取り戻していく物語。
そして、感情を持たぬ存在が手放す事を知らないまま執着していく記録。
やがて2人はどちらにも属さない存在となる。それは救済なのか、それとも……