あらすじ
舞の家元の娘・おりんには、忘れられない人がいる。
帝都でも名高い華族の跡取りであり、香道の師範代だった”先輩”。
身分違いと知りながらも惹かれ合った二人は、誰にも知られてはならない恋に落ちた。
しかし、宮中を揺るがす政変の夜、先輩は突如姿を消す。
それから二年。 家元の命で離れに匿われた”秘密の客人”の世話お任されたおりんは、そこで懐かしい白檀の香りを嗅ぐ。
現れたのはーー記憶を失った先輩だった。
触れるたび、 白檀の香りが漂うたび、 先輩の瞳は苦しそうに揺れる。
忘れられたはずの恋は、香りとともに蘇っていく。 これは、帝都の雨の夜に始まった、許されざる恋の物語。