あらすじ
血の気の穢れを赤不浄、骸の気の穢れを黒不浄という。
その骸桜は死人に纏わる一切の穢れを喰らい、貪り、そして麗しく狂い咲く――。
――百九十三年前。
天保の大飢饉で多くの骸が野で腐り果てた。その桜は、骸を糧に育ち、一人の女となった。
撥捌き流麗なる美女、緋桜祇玄禰(ひおうぎくろね)。彼女は長い時を現世で惑う妖怪変化だった――。
塩崎銀仁(しおざきぎんじ)は幼い頃から「視える側」として生きてきた。
だが無理解な周囲に対し、銀仁は次第に心を閉ざし、鬱積とした思いを抱えながら、己の異質な力を疎むようになる。
高校を卒業したある春、彼は実家の桜の木の下で美しい女と出会う。
以来五年、銀仁と玄禰の二人は三河地方を中心に、自らを「骸喰らい」と称し、怪しげな妖術師稼業に身をやつしている。
――それはある若者が、豊川山奥の蔵で古刀を見つけたのと同じ頃。
三河地方の沿岸部で、奇妙な怪事件が起きていた。
それは尋常ならざる力が渦巻く、異常な霊異事件であった――。