あらすじ
港町リンドルの片隅にある宿屋《銀の匙亭》で暮らすレイ・オルランドは、壊れた鍋や扉、包丁を直して日銭を稼ぐ小物修繕師。
使える魔法は、火を放つことでも、傷を癒やすことでもない。
ただ、壊れたものの《継ぎ目を馴染ませる》だけ。
できれば毎日、朝飯を食べ、ほどほどに働き、余計な事件に関わらずに生きていたい。
しかしある日、赤毛の冒険者ニナが、古い見張り塔で拾った黒ずんだ指輪を持ち込んでくる。
ただの拾い物だと思われたそれは、旧時代の危険な魔導具だった。
指輪に残った魔力をほどいたことで、レイは王立遺物管理局に目をつけられてしまう。
「見に行くだけ」「戦わない」「働かない」
そう言いながら向かった古い塔で、レイはまたしても面倒ごとに巻き込まれる。
これは、ただの小物修繕師が、鍋や扉を直すついでに、古代遺物や人間関係や町の厄介事までほどほどに直してしまう物語。
本人いわく、全部ただの修理である。