あらすじ
「リネア・グランベル。お前との婚約を破棄する」
王太子にそう告げられた瞬間、伯爵令嬢リネアが見ていたのは婚約者ではなく、大広間の天井だった。
前世で建築確認検査員だった記憶を持つリネアには、建物の荷重と亀裂が見える。けれどこの世界では、光を出すわけでも人を癒やすわけでもない彼女の構造魔術は「壁の染みを見るだけの無能」と笑われていた。
王太子は聖女ミリアを選び、リネアを断罪しようとする。だが、聖女の祝福で飾られた王城の大広間は、すでに限界を越えていた。
「殿下。婚約破棄は承知しました。ですが、この大広間はあと七分で崩れます」
信じたのは、北壁公爵オスカーだけ。避難が終わった直後、大広間は本当に崩落する。
悪女として追われるリネアは、公爵に保護され、王都の建物を調べるうちに、聖女の奇跡が王城を支えるために貧民街や孤児院へ負担を押しつける「荷重転移」だと知る。
これは、断罪された令嬢が王都の傾きを直しながら、王子と偽聖女の嘘を一つずつ崩していく物語。