あらすじ
姉に逃げられ、呪われた公爵へ身代わり花嫁として嫁がされた伯爵令嬢リーゼロッテ。
初夜、彼女に差し出されたのは花束でも愛の言葉でもなく、「互いに愛さず、触れず、一年後に離縁する」という白い結婚契約書だった。
けれど、その契約書は穴だらけだった。
生活費は曖昧。離縁時の金額も曖昧。妻には秘密保持義務があるのに、公爵家側には説明義務がない。
署名した瞬間、リーゼロッテは前世で契約審査と監査対応に追われていた記憶を取り戻す。
「この契約書は、署名できません」
離縁後の生活を守るため、彼女は白い結婚契約に監査権をねじ込み、公爵家の帳簿を確認し始める。
すると出てくるのは、使用人の未払い賃金、食材費の水増し、怪しい治療契約、発作の前日にだけ納入される黒月草、そして公爵を蝕む黒蔦の呪いに関わる古い盟約の欠落。
実家は彼女を道具にし、家令は「公爵家を守るため」と不正を隠し、聖女は治療の名で公爵家に入り込もうとする。
けれどリーゼロッテは泣き寝入りしない。
契約書、台帳、署名、証言。
紙の上に残った嘘を、一つずつ暴いていく。
これは、身代わりにされた花嫁が、離縁準備のついでに公爵家を再建し、冷たいはずの夫から信頼と愛を得ていく。