あらすじ

舞台は、文明開化の音色と古き怪異の残り香が混ざり合う、大正浪漫の陰りゆく夕暮れ。 美貌の旅芸人・弥助は、己の貌(かたち)を何よりも愛していた。彼の胸に巣食うのは、大衆の羨望を吸うほどに肥大化する、底なしの「承認欲求」。 「もっと私を、隅々まで見つめろ――」 その狂おしいまでの渇望が、村外れの朽ち果てた薬師堂で、夜の闇と共鳴する。 闇の深淵から現れたのは、全身に無数の瞳を宿した異形の影、「百目鬼」。 出会ってしまった二つは。一方は見られることを欲し、一方は見つめることを業とする。 視線が絡み合い、倒錯した法悦が弥助の肉体を蝕み始めたとき、彼の美しい肌の下で何かが蠢き、爆ぜる。 それは果たして、神罰か、それとも彼が望んだ究極の救済か。 一振りの鏡に映るのは、美しき青年の夢か、それとも――。

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カクヨム
カクヨム2026/05/09
  • 現在の作品百目鬼