あらすじ
これは――
『砂上の楼閣』『悪魔の証明』にも登場する探偵・田所雄三、その原点の物語。
かつて彼は、ただの引きこもりだった。
高校中退、職歴なし。
三十歳まで部屋に閉じこもり続けた“冴えるデブ”。
そんな男が探偵事務所を開くことになったきっかけは、両親の死と、父の遺した一つの言葉。
「後悔しない人生を送れ」
遺産で開いた小さな事務所。
そこに現れた最初の依頼人――才色兼備の女性・夏野和泉。
彼女の相談は、ストーカー被害だった。
警察は動かない。証拠もない。
だが田所は、“現場に出ることなく”違和感を拾い上げていく。
やがて浮かび上がる、歪んだ愛情と狂気。
そして訪れる刃――命を懸けた対峙。
この事件を境に、
なぜ警察が一介の探偵に捜査協力を依頼するようになったのか。
なぜ夏野和泉が、小さな探偵事務所で彼の秘書を務めているのか。
すべての始まりが、ここにある。
“椅子から一歩も動かない探偵”が生まれた、最初の事件。