あらすじ
食品メーカーの経理部で十年働いてきた佐倉美緒は、真面目で地味ながらも、誰より丁寧に数字と書類に向き合ってきた。ところがある日、不正な経費処理の責任を押しつけられ、社内では「佐倉が不正をしたらしい」という噂が広まってしまう。
元恋人の榊原拓也、可愛い後輩の白石莉乃、そして上層部の思惑。誰も信じられなくなった美緒は、会社を去るため退職願を提出する。
しかし、その退職願を受け取った社内監査役・黒瀬怜司は、冷たい声で告げる。
「受理できません」
社内で“氷の監査役”と呼ばれる黒瀬は、美緒が残してきた確認メモや経費資料を読み込み、彼女が不正をする人間ではないと見抜いていた。美緒は黒瀬とともに、消えた伝票、改ざんされた承認履歴、元恋人と後輩の嘘、さらに役員が関わる隠蔽の真相へ迫っていく。
冷たく見える黒瀬は、誰よりも美緒の仕事を信じてくれていた。追い詰められて逃げようとしていた美緒は、彼の言葉に支えられながら、退職ではなく「自分の仕事を取り戻す」ことを選ぶ。
退職願から始まる、逆転と再生のオフィスラブ。