あらすじ
「お母様じゃないのに」
七歳の夜、私は継母にそう言った。
母を亡くして二年。父が新しく迎えた継母エヴァは、若く美しく、母の親友だった人だった。
でも、彼女は私のお母様にはならなかった。
ベネット伯爵令嬢クレア、二十四歳。
私の継母エヴァは、十七年間、私を一度も抱きしめなかった。
髪を撫でられたことも、頬に触れられたこともない。
異母弟リオンには甘く、私には冷たく、いつも一歩離れたところにいる人だった。
結婚式の二週間前、その継母が倒れた。
病床から渡されたのは、二通の手紙。
一通は、亡き母クラリッサから継母エヴァへの遺言。
もう一通は、亡き母から、私への手紙。
そこに書かれていたのは、十七年間、誰も知らなかった真実だった。
「私を、抱きしめてください」
「いいの」
「はい。今度は、私が選びます」
これは、不器用な約束を守り続けた女と、それを誤解し続けた娘の、十七年遅れの和解の話。
※一話完結・ざまぁなし・家族愛