あらすじ

あらすじ これは、 五十二年間にわたる実際の体験の記録である。 三歳の夜、階段の途中で黒いものを 見た。 それが、すべての始まりだった。 小学生の頃、施設で見知らぬ子どもの死の記憶に憑かれ、毎夜眠ったまま自分の首を絞め続けた。 中学では六畳の部屋を四十八人の行列が黙々と横切り、幽体離脱した魂は空襲の記憶が残る土地へ強引に引きずられた。やがて感覚は研ぎ澄まされ、他者の背後に憑いたものを祓い、土地に染み込んだ死の気配を読み取るようになった。 五十二歳になった今も、家の階段には澱が溜まり、深夜には錫杖の音が路地を通り過ぎる。そして息子が言った ——「白いレースの服の、髪の長い女の人がいる」と。 それは、かつて私の枕元に立っていた、あの人だった。

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カクヨム
カクヨム2026/05/09
  • 現在の作品『あちら側 ―黒からの始まり―』