あらすじ
ここはエジプト。第4王朝のクフ王が君臨するギザの街。砂漠から吹く風の朝、石工の少年セスは、古代人が残した刻紋を指でなぞる。ピラミッドは人々にとって“神の山”であり、誰も読み解けない謎の遺跡でもあった。
王は暴挙のように神像を刻み直し、スフィンクスの顔さえ自らの姿に変えようとしている。
セスの母は五年前に他界した。
父のダクトは書記官に次ぐ権威ある遺跡調査官である。
病弱な弟ルカを抱え、セスの姉ムトはパンを焼きながら家族を支えていた。
そんな中、父ダクトはピラミッドの下に眠る巨大な地下都市の存在を確信する。やがて王は墓室の発見を命じ、父子は危険な調査隊に加わることに。
暗闇の奥で彼らが見たのは、古代の人々が残した不思議な伝言と記憶。苦難を乗り越え、最上階に達した調査隊がピラミッドに刻んだのは、王の名ではなかった。
「クフ王のために働く強き者たちの隊」。
それは千年後まで残る、彼らの誇りと刻紋であった。