あらすじ
病や呪いを癒やす奇跡の《白花》によって栄える国。
王立白花院は「誰ひとり取りこぼさない救済」を掲げ、民に崇められていた。
けれど貧民街育ちの少女リオネは、その言葉を信じていない。
母は白花病に侵されながらも、「まだ歩ける」「もっと重い患者がいる」と後回しにされ、救われないまま死んだからだ。
祭りの壇上で聖女セレフィーナへ「そんな救済は嘘だ」と叫んだリオネ。
だが彼女は罰せられるどころか、聖女から「その怒りを貸してほしい」と告げられる。
白花を育て、治癒師として修行し、見捨てられてきた者たちの声を集める日々。
その中でリオネは知っていく。
救済とは美しい理念だけではなく、泥にまみれた手間と、届かない痛みを抱えながら、それでも手を伸ばし続ける営みなのだと。
これは、かつて救済を否定した少女が、怒りを失わないまま救う側へ立つ物語。