あらすじ
2018年9月。大学入試を控えた藤原千歳《ふじわらちとせ》は、シルバーウィークに母方も祖父母宅に来ていた。自然豊かな滋賀の生まれ故郷で、集中して静かに受験勉強に勤し為である。だが、集中力が切れてきたころ、気分転換に先祖の資料が眠る倉庫を見てみようと思いついた。そこで、「返り花」~藤原塔子の忍ぶる日記~と題された読み物を発見する。気軽に読めそうであったし、古文の復習、そして気分転換も兼ねて現代語に訳してみる事にした。
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私は左大臣の娘、長女として生まれました。名を藤原塔子《ふじわらのとうこ》と申します。此度、藤原道綱の母がお書きになられた「蜉蝣日記」を拝見しまして、夫の浮気性に関して共感する事が多くございました。故に、私も夫について普段言えない事を密かに書き綴ってみようと思い立った次第でございます。
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「雰囲気を出す為、ところどころ古文を交えて注釈をつけたら、現代語訳みたいで面白そうだわ」
千歳は自宅から持参したノートパソコンを開いた。