あらすじ
夜になると、世界には“裂け目”が現れる。
そこから這い出るのは、人間の感情を喰らう異常存在――夜獣。
普通の人間には見えず、知られることもないそれらを、国家の裏側に存在する組織、内閣府特設危機管理室・境界災害対策局――通称《境災局》が処理していた。
高校二年生の七瀬紬希は、ある夜、帰り道で裂け目と夜獣に遭遇する。
逃げなければならない。
けれど、近くにいた小さな子供が夜獣に狙われた瞬間、紬希の手の中に銀の針が現れた。
彼女の異能は《縫合》。
傷を塞ぎ、空間を縫い止め、裂けた境界に針を通す力。
境災局ですら封鎖することしかできなかった裂け目を、紬希は“縫い合わせて”しまう。
それは、誰かを救える力だった。
けれど紬希はまだ知らない。
縫えるようになったのは、強くなったからではない。
世界の綻びが視えるのは、彼女自身が人間から解れていく証なのだと。