あらすじ
ただ生きるためだけに感情を殺して日々を送る高校二年生の宝田隆樹の前に、自らを死神と名乗る少女、本庄葵が現れる。
彼女は隆樹の隠された胸の傷や不自然な過去を知り尽くしており、一ヶ月後の今日、彼が死ぬことを宣告した。
しかし、過酷な日常に疲弊しきっていた隆樹は、死の宣告を終わりのない返済からの解放として淡々と受け入れる。
その特異な反応を見た葵は、残された一ヶ月を有意義に使わせるため、彼を死神の助手に強制的に任命した。
助手としての仕事は、現世に未練を残す魂の救済。
虐待されながらも母に会いたいと願う少女や、裏切りですべてを失った元社長など、不条理な因果関係に囚われた死者たちを論理的に整理し、成仏へと導いていく。
その過程で、隆樹の冷淡な思考に少しずつ変化が生まれ、葵との関わりを通して放棄していた生きる意志を再認識していく。
だが残り時間が半分に迫った頃、葵が突然姿を消す。
学校の記録からも彼女の存在が消滅し、隆樹は彼女が重大な秘密を抱えていたことに気づく。
彼女を探し出す唯一の手段は、助手に与えられた特殊な能力を使うこと。
しかしその絶対的な代償は、寿命ではなく自身の記憶の喪失だった。
能力を使うたびに大切な記憶が欠落していく中、隆樹は自身の胸の傷と過去の記憶喪失が、実はかつて自分がこの能力を行使した代償であったという因果のループに辿り着く。
なぜ葵は数ある人間の中から隆樹を助手に選んだのか。
能力を使い続ければ、葵を救いたいという理由すら忘れてしまう。
論理的なパラドックスを抱えながら、隆樹は自らの存在証明である記憶を対価に、隠された真実へと手を伸ばす。