あらすじ

聖務解剖官ノア・フェルディナンドは、死体しか信用しない男だった。 生きている人間は嘘をつく。 愛されたいから、生き延びたいから、平気で自分を偽る。 だが死体は違う。 静かで、平等で、言い訳をしない。 そんなノアが仕えるのは、“奇跡”を司る大聖堂。 だが彼は、民衆に愛される聖女アナスタシアの治癒の奇跡を見て、こう言い放ってしまう。 ――内臓の位置が気になりますね。 その不敬を咎められ、辺境修道院への左遷を命じられるノア。 去り際、彼は聖女に告げる。 「あなた、三日以内に死にますよ」 そしてその夜。 本当に聖女は、大聖堂の晩餐の最中に急死した。 当然のように疑いを向けられるノア。 だが彼は死体を一目見るなり、静かに断言する。 「これは毒殺ではありません」 暴かれていくのは、奇跡の正体。 聖女が背負っていた、あまりにも優しく、あまりにも醜い真実。 それは神の祝福ではなく、 皆が目を逸らし続けた“信仰の代償”だった。 追放された解剖官が解き明かすのは、 呪いでも陰謀でもない。 人が「特別でありたい」と願う、その祈りの末路。

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小説を読もう2026/05/09
  • 現在の作品聖女を解剖したら、だいたい国が滅ぶ