あらすじ

地震のあと、国境近くの傭兵の街に黒い岩が現れた。 その岩に触れると、傷はそのままなのに痛みだけが消える。さらに周囲の土からは、見たこともない花が咲いた。 花には、人の恐怖や嫌悪を薄くし、気分を高揚させる作用があった。傭兵は花で前に出られるようになり、娼婦は客前で笑えるようになり、街の人々は無理を押して生きられるようになる。 だが、それは治療ではなかった。 壊れた身体を壊れたまま動かし続けるための、ごまかしだった。 やがて花には質の差があり、深い苦しみから咲く花ほど強く、高く扱われると知れわたる。すると街は少しずつ変わっていく。傷は治すものではなく、咲かせるものになり、苦痛そのものに価値がつき始める。 異常を見抜いた薬師イーサンは岩を壊そうとするが、街の人々は“救い”を守るため、彼を止める。 これは、痛みを消すことと、傷を治すことがまったく別である世界で、共同体そのものが壊れていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/08
  • 現在の作品【異世界】傷を治さぬ石